よしかつ(@4shikatsu)です。日本とシンガポールのハーフで、シンガポールから情報発信をしています。
「日本市場が縮小していく中、海外にアピールして我が地域の名産品を拡販したい!」
「まだ知られていない我が街の魅力を訴えて、もっと観光に来てもらおう!」
そして、進出先としては
「年々成長している東南アジアに打って出るなら、経済が発展しているシンガポールだろ」
と息巻いている日本の各市町村は数多くいます。実際に、シンガポールでは毎月のようにどこかしらで日本の地域PRイベントが開催されています。
その中で、「TOYAMA WEST(富山県西部6市によるPRイベント)」に参加を通じて感じたことと、外国人旅行者の呼び込みによる町おこし、地域活性化についての考えをまとめてみました。
コンテンツ
訪日観光客の現状
2017年の訪日外国人旅行者数は約28.7百万人で、2016年比19.3%と急激な勢いで伸びています。国別では中国約7.4百万人、韓国約7.1百万人、台湾4.6百万人と、3カ国で全体の約7割を占めています。(出典:日本政府観光局(JNTO))
シンガポールはというと、約40万人で全体の1%に過ぎません。
しかし、訪日客ランキングでは10番目に多く、前年からは約12%も伸びています。全人口が560万人(外国人含む)なので、国の7%の人々が日本を訪れてくれていることになります。逆で考えると、全人口約1.27億人の7%は約9百万人で、大阪府民全員がシンガポールを訪れている計算になります。
これって凄くないですか?
小さい国で人口も少ないので、今後も訪日客が増えるにしても限界があります。
しかし、こんなに日本に興味を持ってくれているシンガポールに日本を売り込む価値はかなり大きいと言えます。
地域PRイベント
年間40万人、日本に来てくれるシンガポールの人々を対象に、シンガポールでは数々の地域PRイベントが開催されていて、各地の魅力を伝え、旅行先として選んでもらえるようアピール合戦を繰り広げています。
その中で、僕は2017年9月にシンガポールに移住してから参加した、いくつかの地域PRイベントの内、僕の地元である富山のPRイベントを紹介します。
富山西部6市によるPRイベント「TOYAMA WEST」
2018年1月6日〜26日にJR東日本が運営するJAPAN RAIL CAFE*(@タンジョンパガー)にて富山県西部の6市(氷見、高岡、南砺、砺波、小谷部、射水)合同で各市の食や祭をPRするイベントが開催されました。
普段は観光パンフレットの掲示、パネル展示、物販などが行われ、19日と20日には、各市長がシンガポールの方々へ直接アピールする企画も実施されました。
各市がそれぞれ熱いプレゼンを行い、存分に我が町の魅力をアピール、更には、市の名産品のお菓子などを配って、富山を感じてもらっていました。
6市長の中で唯一、僕の地元である氷見市の市長のみ英語でのプレゼン。決して流暢な英語ではありませんが、直接思いを伝えようという姿勢が伝わってきて、非常に好感が持てました。
シンガポールの人々はいわゆる”日本人の英語”であっても、しっかり聞いて理解しようとしてくれる人が多くいます。市の魅力を伝える上で、正確な情報を正しく伝えることも重要ですが、それは通訳スタッフに任せて、熱い思いを自分の言葉で伝えることの方がもっと大事なので、英語での説明は良かったと感じました。
他の市長の方々も、「さすが市長」という話術で会場は大盛り上がり。
更には、司会の方も進行が上手く、一方的な説明にならないよう、合間合間で参加者とコミュニケーションを取り、聞き慣れない日本の町の名前を覚えてもらうよう工夫されていました。
小規模のイベントではありましたが、だからこその近い距離感が、市の魅力を十分に伝える上で逆に良かったと感じました。
蛇足ですが、僕はお客として参加しましたが、富山出身の者として、富山に興味を持ってくれたシンガポールの方に説明ができ、その方は「今年富山に行く!」と言ってくれ、地元に少し貢献ができ大満足でドヤ顔写真。
*参考:JAPAN RAIL CAFE JR東日本グループのインバウンド戦略の推進について
町おこしのこれから
今回の富山西部PRイベントは盛り上がりましたし、市のトップが”海外””シンガポール”を自分の目で見て、自分の肌で感じたことは有意義であったと思います。
ただ、「参加者が喜んで、興味を持ってくれて良かったねー」「シンガポールはいい国だったねー」で終わっては意味がありません。
日本企業でよくある”視察だけで終わる”ことは避けなければいけません。折角お金を掛けて、現地視察、トップセールスを行ったので、次に繋がる施策が必要です。
シンガポールには日本人が想像する以上に多くの日本食や日本製品が売られています。また、小さい国なので、旅行といえば海外旅行になり、シンガポール人は世界各国を見ています。なので、シンガポール人の目も舌もかなり肥えています。
そこで僕が思う、シンガポール人含む外国人旅行者の呼び込みによる町おこしに必要なことは以下の3点です。
- ”普通じゃない”魅力を見つける
- 英語や中国語での発信力強化
- 海外の人を受け入れる心構えを持つ
”普通じゃない”魅力を見つける
海外旅行経験豊富なシンガポール人には「美味しい食べ物」「綺麗な景色」だけを訴えていても響きません。その市ならではの、他の地域には無い”普通じゃない”特徴を考える必要があります。
分かりやすいものだと、富山の場合は世界遺産があるので、それは”普通じゃない”魅力です。
でも「ウチの町は普通の田舎町だから、普通じゃないモノなんで無いよ、、、」と思う町であっても、自分の町の良さは意外に自分では気付くことができないものなので、外部の目を入れてみることも1つの方法です。外部の目で新しい気付きをもらえるかもしれません。
SNS全盛期の昨今、”普通じゃない”魅力はあっという間にネットで拡散され、観光客増加間違い無しです!
英語や中国語での発信力強化
先日、海外の友達から「箱根旅行を考えているから箱根のオススメ宿を教えて欲しい」との連絡を受けました。
そこで早速検索したのですが、日本の観光地の代表格である箱根であるにもかかわらず、英語のサイトを整備している宿がわずかしかありませんでした。これにはかなり衝撃を受け、観光立国を目指している日本ですが、その道のりはかなり遠いなと感じました。
旅慣れている人なら問題ないかもしれませんが、初めてだったり、たまにの旅行の時に、公式サイトの正確な情報が手に入らないと不安に感じるでしょうし、そもそも選ばない可能性も非常に高いです。
お金は掛かりますが、逆に言えばお金を掛ければ、英語サイトや中国語サイトは作成可能です。作ってしまえば、英語サイトや中国語サイトが少ない現状では、それが差別化の1つになり得ます。
今回の富山PRイベントで、市長が英語のプレゼンをしたように、トップが英語で発信し続けていくことができれば、市民も英語の重要性を感じ、意識を変えるきっかけになるはずです。
海外の人を受け入れる心構え持つ
わが故郷の富山を見ても、特に田舎では、外国人旅行者にまだまだ慣れていない印象を受けます。
日本人じゃないと分かった瞬間に対応がガラッと悪い方に変わる光景も何度も目にしたことがあります。
これは慣れるしかないですが、地域ぐるみで、外国人旅行者に対してどういう心構えで、どういう対応をとるのかについての意見交換会を開くなどし、準備しておくのも1つの手です。
一言、一つの対応が、旅の印象を良い方にも悪い方にもガラッと変える可能性があります。「そんな小さなことまで気にしなくていいのでは?」と思うぐらいの小さなことが意外に全体の印象を決める一番の要因になるかもしれません。
媚びるわけではなく、海外の人を温かく受け入れることができる気持ちの持ちようを町の人々みなで共有すると、きっと良い方向に向かえると思います。
以上が、シンガポールで地域PRイベントに参加したことで、僕が感じ、考えたことです。
現在の町おこし活動、地域活性化活動には課題は山のようにあると思います。しかし、それぞれの町には世界に誇ることのできる魅力があります。その魅力をより伝えやすくするためにどうしたら良いかを、町の人々みなで考え、一つずつ実践していくことで、町おこしに繋がっていくと信じています。
よしかつ
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