気が付くといつもスマホを触っている毎日。
「デジタル世界から離れて、大自然に思いっきり浸りたい!!!」
自然に囲まれた田舎で育ち、年に1〜2回登山をしていた僕は、自然に無性に触れたくなる衝動が定期的にやってくる。
僕が今住んでいるシンガポールにも自然はたくさんある。
でも残念ながら大自然や山は無く、シンガポール最高峰は163m。
しかし、シンガポールの良い所は、世界トップクラスのハブ空港である”チャンギ空港”が市内からアクセス最高の立地なので、気軽に世界中に飛び立つことができること。
1〜2時間あれば東南アジアの多くの国に行くことができる。
旅立ち
「よし、登山をしよう!」
テニス仲間と話していた時に、ふと出た企画。
だけど、興味を持って言葉にしたら何でもやってみるのが僕のポリシー。
早速バックパックに荷物を詰め込み、マレーシア・ボルネオ島へ飛んだ。
日本の1.9倍もあるボルネオ島にはインドネシア、マレーシア、ブルネイの3ヶ国の人々が暮らしていて、今回訪れるのはマレーシア。
3,776mの富士山を超える4,095.2mもある東南アジア最高峰キナバル山が今回の目的地。
年間を通して登山可能だけど、2月〜5月が比較的天候が安定してオススメの時期らしいが、今は既に6月末。天候はどうなんだろう。
最寄りのコタキナバルにある空港まではシンガポールからたった2時間半で到着。
初日は市内でマレーシア名物バクテーを頬張り、早々にベッドへダイビングした。
明日晴れますように!
太陽がまだ昇り切っていない午前6時、大きめのバンに乗り込んだ。
よし、天気は良さそうだ。
昨晩暗くて見えなかった外の景色をぼんやり眺めていると、マレーシアに来たんだという実感がようやく湧いてきた。
しかし、それも束の間、うとうとが眠りに変わり、気付くと登り口に到着していた。
神の山
顔を上げると、そいつはいた。
キナバル山だ。
「た、たかい。」
現地住民からは「神の山」と崇められている霊山。
深い森に深い霧が立ち込めている様子が確かに神々しい。
「う、これからこの山を登るのか。」
あまりの迫力に怯んだが、ここまで来たのだから行くしかない。
入口には登頂時間の記録保持者の看板が掲げられていた。
4,000m級の山をたった2時間21分で登った猛者がいるらしい。
「負けないぞー」とは言えるレベルじゃないな。
もののけ姫の世界に迷い込んだかのように、目の前には濃い霧と緑が延々と広がっている。
「う、僕らは生きて帰ることができるんだろうか。」
また弱気が顔を出してきた。こういう時の対策は決まっている。
「よし、歌おう!」
良い歳した20〜30代の僕らは、となりのトトロ、ポンキッキーズ、忍たま乱太郎、魔女の宅急便、、、といったジブリとNHK多めの懐メロを全力で歌い、気分をあげた。
この時、めちゃくちゃ楽しかったな。
他の登山客はおらず、ガイドのおじさんの目は気にせず、好きに歌う。これ、最高。
1日目の苦難
しかし、笑っていられた時はすぐに過ぎ去っていった。
着実に進んでいるんだけど、いつまで経ってもうっそうとした森が延々と続いていて、ゴールにいつ辿り着くのだろうかと段々不安になってくる。
さっきまで森に響いていた歌声は次第に小さくなり、気付くと誰も歌わなくなっていた。
そして今回のメンバーの中では一番体力がありそうな見た目をしていて、クマの称号を頂いた僕が一番しんどくなってきた。
やっぱり30歳になると体力が落ちるのか。。。いや、年齢関係なく、単純に運動不足なのに加え、激旨のシンガポール料理を食べまくっているからだな。
心の中では「くそーーーーーー。頑張れ、自分!」と叫んでいるんだけど、足が一歩一歩重くなってくる。
1人だったら絶対ここで諦めていたよ。
でも、テンションかなり高めの”琴音さん”と「ゆっくり、ゆっくり」と声を掛けてくれる優しい”ししもんさん”に支えられ、亀の速さで一歩ずつ前へ。
ワールドカップ真っ只中の2018年6月末。
サッカー日本代表のTシャツを着ている僕に対して、いろんな国の人たちが「日本は良いチームだね!」「おめでとう!」と笑顔で話しかけてくれたり、握手してくれたり。
疲れが吹っ飛んだとまでは言わないけど、僕のテンションはぐっと急上昇。
(ベルギーがどうとか色々話してくれたんだけど、ごめん!Tシャツ着ているくせにサッカーは詳しく無いんだ。次会う時までに勉強しておくよ。)
サッカーって1つのコミュニケーションツールだね。素敵やー。
時々、前を歩く2人から向けられるカメラのレンズに向かって、カラ元気でポーズ。
しんどい。でも、疲れている時はこれが意外に良い回復薬。
無理やりでも笑顔を作って、大きな声を出すと、一時的に元気になれる。
これからも使っていこう。
しんどそうな僕をもし見かけたら、ぜひ写真を撮ってください。カラ元気出します。
表情も頭の中も全て無にして歩き続け、6時間半。ようやく今晩の宿に到着。
宿の姿を見た時の感動は言葉にならない。神様、仏様、ありがとうございます!という気分。
、、、”今晩の宿”、、、
そう、僕らはここに泊まるんです。
つまり、神々しい宿の後ろに圧倒的な存在感でそびえ立つ岩を登るというイベントが10時間後に待ち構えているんです。
でも今は忘れてビールとビュッフェを楽しもう。
さてさて、明日はどうなることやら。
山小屋らしからぬふかふかのベッドに飛び込み、僕は一瞬で夢の世界へダイブした。
明日の冒険はこちら!
コラボ記事だよ
今回一緒に旅した”琴音さん”と”ししもんさん”も記事を書いています。語彙力の多さ、表現力の高さで定評のある2人。ぜひご一読を!
同じ景色を見て、同じ経験をしていても、感じたことがこんなに違うのかと、その違いを比べるのも楽しいです。
よしかつ(@4shikatsu)
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