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南国シンガポールの冬季五輪への軌跡

更新日

ここ最近、朝起きて日本のネットニュースを見ると、平昌冬季オリンピックのニュースで埋め尽くされている。

「〇〇が金メダル!」「惜しくも予選敗退」「北〇鮮の応援団が・・・」といった文字がこれでもかというぐらい躍っている。

一方、現実世界に目を向けると、僕が現在住んでいるシンガポールではオリンピックのテレビ放送がなく、シンガポール人たちにとっては、開催していること自体は知っているが全く興味がなく、話題には一切あがってこない。

それもそうだ。自分が住んでいる国でプレーできないスポーツで、自国選手も出ていないような大会なんて誰も見ようとは思わない。

メダルの獲得数上位国は、ノルウェー、ドイツ、オランダ、カナダ、アメリカといった雪が降る寒いお馴染みの国々が顔を並べていて(2月18日時点)、南の国々は出てこない。

ただ、今書いたことに2点嘘がある。

1点目は、スケートに関しては「自分が住んでいる国でプレーできないスポーツ」ではない。

シンガポールにはスケートリンク場が3カ所あり、いつでも気軽に滑ることができる。(詳細はこちら

2点目は、今回の平昌冬季オリンピックは「自国選手も出ていないような大会」ではない。

1人のシンガポール女性が参加している。

冬季オリンピック23回目にして初めて、1年中気温が30度程の南の島であるシンガポールから参加しているのだ。

その女性の名は、Cheyenne Goh(シャイアン・ゴー)さん。

シャイアン・ゴーさんはどんな人?

シャイアン・ゴーさんは18歳のスピードスケート女子1500mの選手。

2年前にシンガポールのナショナルチームに召集され、その後、2017年に札幌で開催されたAsian Winter Games (アジア冬季競技大会)にシンガポール女性として初めて参加し、同年のSoutheast Asian Games(東南アジア競技大会/SEA Games)では2つの銀メダル(1000m個人、3000mリレー)と1つの銅メダル(500m個人)を獲得。

1年間で輝かしい成績を残し、同年11月にシンガポール人で初めて冬季オリンピックへのチケットを獲得するに至った。

彼女は2010年のバンクーバー冬季オリンピックのスピードスケートを家族と見て、その際に父親からスケートを勧められたそうだ。8年後に自分がそのオリンピックに参加するなんて想像もしていなかっただろう。実際に「選ばれるなんて思ってなかった!」と彼女自身も言っている。

(参照:CHANNEL NEWSASIA

初冬季オリンピックの結果

運命の決戦日、2月17日。

予選3組に参加した彼女の結果は2:36.971秒、6人中5位、トップとは9.241秒差。

全体(6組36人)では下から3番目の29位(5人失格)、全体トップとは16.08秒差。

彼女にとっても、シンガポールにとっても初めての冬季オリンピックは、世界トップとの差をまじまじと見せつけられ、予選敗退という結果で終わった。

シンガポールにおける冬季スポーツのこれから

オリンピックは参加することに意義があると言われている。もちろんそうだと思う。ただ、それだけで終わってしまうのでは、”町の運動会”でワイワイやりながら楽しむだけで十分だ。

世界中の各競技のトップ選手たちが高いレベルで競い合うからこそ、選手たち自身が楽しむことができ、見ている方も興奮や感動を感じることができる。

それが「スポーツは楽しい!もっと世界中の皆で盛り上げよう!」となり、オリンピックが目指す平和にも少なからず繋がるのではないかと僕は思う。

そして、競い合う場である限り、結果を求めるべきであり、シンガポールにも参加するからには勝ってほしい、メダルを取ってほしいと強く思う。

シンガポール人選手が冬季スポーツにおいて、競技人口が少ない、練習場がない又は少ない、実戦の場がない又は少ないと、ないないづくしの圧倒的に不利な練習環境の中、結果を残すためには、強豪国に”留学”して鍛えることが必須であると思う。

夏季オリンピックでシンガポール初の金メダルを獲得したジョセフ・スクーリングもアメリカで日々トレーニングを行っている。

そして、シャイアン・ゴーさんも実は現在はシンガポールに住んでいない。4歳の時にカナダに引っ越し、カナダで特訓を行っている。

スポーツにおいて環境は何よりも重要。

「不利な環境の中、自国で頑張ってトレーニングし、メダルを獲得!」というストーリーは非常に心打たれるものがある。しかし、スポーツの世界はそんなに甘くない。もちろん可能性はゼロではないが、非常に小さいだろう。

今後、シンガポールのスピードスケート業界や他の冬季スポーツが、本気で世界を狙うのであれば、外に出るべき(物理的に出るしかないものもあるが)。”外のモノをうまく活用する”のがシンガポールの特技。スポーツでもその特技を最大限活かせばいい。

そうやって結果を残していくことが、シンガポールひいては東南アジア全体の”冬季”スポーツの発展に繋がっていく道だと思う。

南国の冬に対する挑戦を楽しみに見守りたい。

参考:シャイアン・ゴーさんについて知らない6つのこと(英文)

by よしかつ(@4shikatsu

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